11月1日、友人とマライア・キャリーのライブ@日本武道館に行ってきた。
マライアの公演があることは知っていたけど、最近の曲は聞いていなかったので、どうしようか迷っていたら、友人が誘ってくれて行くことになった。
最近のマライアの情報に疎かったので、もしかしたら今回の公演は口パクなのかも?と思っていた。
パフォーマンスが見たいからそれでもかまわないと行ってみたけど、ライブが始まってみたら、口パクなんてとんでもなかった。
満員のお客さんの前で終始にこやかに歌うマライアの声は、今が全盛期かと思うくらいにのびやかで、とにかく上手かった。
みんなマライアは歌が上手いってわかっているのに、それでも会場が何度も彼女の歌の上手さにざわついた。鳥肌が立ってうわあっと拍手が広がって、そんな瞬間が何度もあった。
黒のドレスが最高に似合っていたマライア。
私のように最近の曲はあまり聞いていないけど大丈夫かなと不安に思っていた人も多かったと思うけど、往年のヒット曲を惜しみなく披露してくれて、新曲も交えた構成は、本当にファンの人を楽しませよう!という気持ちが伝わってくるものだった。
そして、マライア自身も楽しんでいるのが伝わってきて、それが観客に伝わって、また会場が盛り上がる、そんな繰り返しだったように思う。
思えば、マライアはずっと人を楽しませ続ける最高のエンターテイナーだった。
私にとってマライアは子供の頃から好きなアーティスト。
そして生まれて初めてライブに行ったのもマライア・キャリーだった。
2000年に東京ドームで行われたRainbowツアー。
Rainbowは大好きなアルバムで、特にHeartbreakerが好きで、PVも当時、何度も何度も観た。
彼女のPVは意外と笑えるものも多くて、自分のパブリック・イメージをからかうようなユーモアにくすりとさせられる。
このCDジャケット、懐かしい。
初めて観たライブは、とにかく色々な要素が盛りだくさんで圧倒された。
これがエンターテインメントなのかとガツンと来るような衝撃で、とにかく一流のショーを生で観たことに大興奮だったのを覚えてる。次の日、学校でクラスメイトに話しまくった。でもその感動とか興奮は上手く言葉にできなかったように思う。
もう一つ、マライアの音楽で学んだことがある。
それは、英語。
私は当時、マライア・キャリーの歌詞で英語の勉強をしていた。
(もちろん歌詞カードに訳はついていたけど、自分で細かな意味を知りたかったのだ)
紙の辞書を片手に辞書には載っていないスラングに苦戦しながら、色々な言葉を覚えたし、歌詞カードを見ながら一緒に歌ったりした。
今回武道館のライブに行って驚いたのは、ここ何年も、もしかしたら10年以上ちゃんと聞いていなかったような曲も、昔の曲は一語一句詳細に覚えていたこと。
当時の自分の、辞書を片手にマライアの曲を聞いたり、PVを見たりしては、わくわくどきどきしていた気持ちを思い出して、ライブ中も胸がいっぱいになった。
そんな感動を今味わえるのも、マライアが今も第一線で活躍し続けてくれるから。
アップダウンもある彼女の人生。
それを追い続ける私たちファンの人生もいい時もあれば悪い時もあって、それでも努力し続けて、その時できうる限りの最高の音楽やパフォーマンスで魅せてくれるマライアの姿に、ファンは胸を打たれるし、元気をもらうんだと思う。
ファンとのつながりがとても強いと感じた今回のライブ。
最後は定番の「恋人たちのクリスマス」(All I Want for Christmas is You)で会場は大盛り上がり。
とにかく良曲の多いマライア。
彼女は歌が上手いだけでも容姿に恵まれているだけでもなく、自分で作詩作曲やプロデュースも手掛けていて、ライブ・パフォーマンスのセンスも抜きんでている。
歌姫という言葉がぴったりの貫禄のあるマライアだけど、どこか少女のような繊細さもあるところが魅力なのだと思う。
セクシーなイメージなのに、不思議なくらいとても健全で万人受けするアーティスト。
昔、マライアが卒業した高校にサプライズで行って生徒たちの前でパフォーマンスをするというテレビ番組を観たことがある。
その時の高校生に接するマライアの優しさや彼女の生い立ちや若い頃の話を知って、スーパースターではあるけれども、過剰なゴシップからは読み取ることのできない、彼女の人間性や寂しさ、あたたかさのようのものを感じて、マライアも一人の人間なんだなと当たり前のことを思った。
上手くいかない時期もあって、でもだからこそ、彼女の歌は説得力があるんだと思う。
後輩たちに “Stay in school!”(「学校を辞めないでね!」)と何度も呼びかけていた姿が印象的だった。
これからも人間味のあるマライアの歌を、ずっと聴き続けていたい。
そんな風に思えた武道館の夜だった。